やわやわ人工知能考察

人工知能に関する話題を技術的側面だけでなく、もうちょっと俯瞰的に主観的に話してみようとするブログです。やわやわやっていきます。

人工知能研究は面白い。そして情報量が膨大である。

 

3日ほどサーベイをほっぽりだし自分のべつの趣味に没頭しただけなのに、読まなくてはいけない論文がどんどん出てくる。ものすごく研究のペースが速いのだ。

ある論文の冒頭に、「人工知能研究のスピードは”rapid”であり・・・」と記述があった。著者たちは勘違いしている。もはやRapidペースではなく、"Limited Express"ペースと書くのが正しいだろう。むしろ"SHINKANSEN"ペースと書いてもいい。いや、"SST( Supersonic transport:超音速旅客機)"ペースと書いても査読者は納得するだろう。(そのような形容詞はない)

 

2018年人工知能界隈で、「WoW!」といわれた論文10つをあげてくださいといわれたら何をあげるだろうか。すでにそのような記事がでている。


www.topbots.com

自然言語処理系の論文が多いなとも思いつつ、事前学習に関する研究、連続量データに関する研究がトップ10に入っていた。

 

その中でも、World Modelsは自分の研究の中でも重要な位置づけを持つ論文となった。(このWorld Modelsの考えは、[Building machines that learn and think like people]を参考にしているはず)

 

もちろんこの中にない論文で、興味を掻き立てられる研究もたくさんあった。

自分の研究と関連付けるならば、ICLR2018で発表された論文の中で心を惹かれたのがこの論文。

[1804.02341] Compositional Obverter Communication Learning From Raw Visual Input

エージェントが人間の力に頼らず言語創発するというもの。テクニック的には結構シンプルなものである。しかし、ゼロショット学習に対応していたり、形容詞的な言語文法の自律的構築が見られるなど、シンボル生成研究のなかで、特徴的な研究となっていた。

また、現段階ではICLR2019の予行集であるものの、ATARIゲームベンチマークで最高得点を出したR2D2も興味深い。2018年度最強であった、Ape-Xをあっという間に置き去りにした。LSTMと経験再生と分散学習を組み合わせたアルゴリズムになっているらしい。

Recurrent Experience Replay in Distributed Reinforcement Learning | OpenReview



さらに、OpenAIからは、DQN系列(価値ベースの強化学習)で苦労が続いた、 Montezuma’s Revengeというゲームにおいて人間のスコアを超えるアルゴリズムが登場した。好奇心(内部パラメータ、探索していない部分に向かわせる)に基づき環境を探索させることでスコアを伸ばした。


blog.openai.com

これらの解説は日本語でも出ている。(勉強になっています。ありがとうございます。)


qiita.com

これだけ新しい研究が生まれ、人工知能の各分野に対して新しい発見が常に起こっている。挑戦的な時代で研究できることを面白くないといえるだろうか?好奇心をくすぐられる研究分野であると思う。

 

それでも、物足りなさを感じることがある。それは、分野を横断した「人工知能そのもの」に対する考察である。

これらの研究では人工知能の技術・能力に関する考察が必ずなされる。つまり人工知能の分野(たとえば、画像認識、強化学習、自然言語処理など)でどのような成果を挙げているか、どのような研究が期待されるかについては見えてくる。

だが、人工知能そのものについての考察が見られない。分野ごとの方向性は見えても人工知能研究全体の見通しが見えてこない。

分野に限った論文だからだろうか。ある分野の能力が向上したという記事は新規性がわかりやすい。タスクやベンチマークに対して比較することが可能だからだ。

しかし「知能」にどれだけ近づいたかというベンチマークは存在しない。何かを達成したから「知能」になるというわけではない。それがわからないから、知能的な所作を利用して何かをしよう分野を研究している。いわゆる弱いAIである。

 

本当に人工知能を作りたいと思うならば、大切なポイントは「人工知能そのもの(強いAI)」にこれらの研究がどのように影響を与えているかという視点ではないだろうか。私は、ここにちょこっとだけでも知見を与えたいと思ってしまった。

能力や分野、技術の面から話す人工知能をやめて、人工知能研究全体として興味深い・意義深い研究やインパクトのあるアプリケーションが、人間や生物が行っている知能とどのような関連(対比)を持つかということを考えようという視点である。この視点は非常に「主観的」である。


しかし、「主観的」だからこそ、知能を横断的に解釈することができるのではないか。今まで分野の範疇でしかかたられることのなかった技術がほかの分野と結合して、あたらな可能性を生み出すことができるのではないか。知能という興味深い分野について

 

もちろん、技術を知らないと主観的であっても話すことができない。人工知能の技術に基づいて、それが知能全体にどのような影響を与えるのか。どこに関連づけられるのか。

 

そんな、「主観的」な人工知能考察をやわやわ始めようと思う。やわやわなのは、自分のペースがゆっくりであるからだ。

まずは、書いてみることからはじめようと思う。不勉強なところもあるかもしれない。勉強しつつ、自分の研究をしつつ更新をしていこうと思う。

プロフィール
id:k-td
ブログ投稿数
6 記事
ブログ投稿日数
6 日